奥田英朗の「空中ブランコ」を読んで。
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奥田英朗
1959年生まれ、岐阜県出身の作家。プランナー、コピーライター、構成作家を経て1997年に作家デビュー。「邪魔」、「空中ブランコ」、「家日和」、「オリンピックの身代金」などで様々な賞を受賞。
空中ブランコ
奥田英朗作の連続短編小説で「イン・ザ・プール」に続くシリーズ第二段。
空中ブランコ、ハリネズミ、義父のヅラ、ホットコーナー、女流作家の5編からなる。
この作品で奥田英朗は第131回直木賞を受賞。
感想
「空中ブランコ」は伊良部という精神科医のもとに通う患者の話。
彼は、精神科医という(医者という)概念からかけ離れた男で、、、というより大人として、いや、人として変だ。
外見は中年のでっぷりとしたおじさん。
彼の無邪気さが最終的には患者を救うことに繋がるのだが、毎回最初の印象は最悪だ。
それもその筈、患者は皆”藁をもすがる思い”で受診しているのに伊良部という男は人の話を聞かない。そしていきなりビタミン注射を打ってくるヤバいやつだ。
読み進めていくと、だんだん読者の心まで軽くするような伊良部の不思議な力がある。
彼は前述の通り常識がない変態だ。
だからこそ常識や固定観念に縛られて生きている人(多分全員そうだと思う)の心を軽くする作用があるのだと思う。
変なやつが横にいると、バカにしながら肩の力が抜ける絶妙な安心感を覚える感覚に近いと思う。
病気の内容はかなりシリアスなはずなのに、読後の後味が良く陰鬱としないところが逆に良い。
さらっと読めてしまうが、久しぶりに運動をした後のような充実感を覚える。
笑いあり、感動ありのエンターテイメントだ。
次に読む小説を考えている方、ぜひ読んでみて欲しい。
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